イ エ ス と は い っ た い 誰 な の で し ょ う ?         

訳:松隈 康史


 彼は貧しい片田舎で生まれた。平凡な女性の子ども。彼は貧しい片田舎で生まれた。三十歳になるまで、大工仕事を続けていた。

  あとの三年間、彼は方々で教えを宣べた本を書いたことはないし、事務所があったわけでもない、家庭もなければ、自分の家もない。大学で学んだこともなかった。

  故郷から二百キロ以上離れたこともないし、偉大な何かを持っていたわけでもない、自分の体のほかに、身分を証明するものを持たなかった。

  三十三歳の時、民衆は彼を敵視した。友も彼を捨て去った。彼を憎む者の手に渡され、ののしられ、そして辱めのむごい刑を受けた。

  十字架に付けられ、二人の強盗の間に置かれた。死に臨んだ時、処刑人は彼の服を剥ぎ、くじを引いた、それは彼のただ一つの財産だったのだ。

  彼 は 死 ん だ。

  一人の友のあわれみにより、借りものの墓に葬られた。彼は自分のとがのゆえに死んだのではない。彼は人びとの罪のために、しかも、彼を責め、侮辱し、あざけった人びとのために死んだのだ。

 愛のために、彼はすすんでこの世に生まれた。愛のために、彼は従順に死んでいった。

  それから二十の世紀が過ぎたが、彼は今でも歴史の中心にあり、人類の歩みの導き手なのだ。

  あらゆる陸軍が行軍できる陸地も、あらゆる海軍が航行できる海域も、全世界の国会が採決したすべての決議も、すべての国王が行使した統治権も、それらすべてをあわせても、この世の人の命にあれほど大きく影響した、彼の短い一生には及ばない。

  すべての人の中で彼だけが、世の人々に天の父の愛を啓示した。彼自身が愛そのもの、その愛をもって人びとの間の、冷たさ、詐欺、不平や恨みなどをぬぐい去った。そして人びとに、より深く愛を悟らせた。

  彼は死んだ、でも生きている。彼は命をつかさどる主、死も彼を支配できない。

 彼の復活によって新しい命が拓かれ、この世の命の意義を気付かせた。そして私たちに、永遠の命の希望を与えた。

 彼は永遠の命の主、彼により頼む人は、必ず永遠の命を得る。

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